「アレ通信」第三号 デザインはメッセージ
「デザイン」には必ず「意味」があります。言い換えると「意味がない」デザインは本来的には「デザイン」とは呼べません。「デザイン」には必ず「メッセージ」があるのです。
では、「デザイン」にはどんな意味があるかというと、「装飾」「伝達 (コミュニケーション)」「実用性・合理性」といったものです。
服飾で例を挙げてみましょう。
冬の定番「フィッシャーマンセーター」。縄編みの柄が浮き出すように織り込まれた白いセーターです。その発祥はアイルランド西岸、大西洋に浮かぶ小さな島々とされています。
羊毛の脂による防水性と防寒性を兼ね備えた漁師の仕事着でした。漁村の女性によって、それぞれの村や家ごとに独特な縄目模様が家紋のように織り込まれました。もし、漁師が海で不慮の事故に遭い、遺体がどこかの浜に流れ着いても、その人が着ているセーターの模様でどこの出身なのかが判別が出来たのです。
網目模様には漁をする男たちの安全を祈る女性たちの思いが込められているのです。
「ジーンズ」が一般的に「青色」なのには理由があります。1850年代、ゴールドラッシュにわくアメリカでジーンズは生まれました。
カリフォルニアの山地で金鉱を求めて働く男たちのズボンは過酷な環境に耐えられず、すぐに破れてしまいました。そこで丈夫なキャンバス生地でスボンが作られるようになりました。しかし、この時のスボンはまだ青色ではありません。
山中には毒ヘビや虫がおり、働く男たちの悩みのひとつでした。そこで考え出されたのがヘビや虫が嫌う成分を含んだインディゴ(藍)でスボンを染めるという工夫です。これ以降、ジーンズの色は「青色」が定番となりました。
「セーラー服」はそもそも英国海軍の制服に起源があり、大きな襟は風の強い甲板上で襟を立てて集音の手助けとしたり、長髪を束ねて整髪剤で固めていたので上着が汚れないようにするため襟が大きくなったという説があります。
他にも「タータンチェック」の柄は、スコットランドの家紋のようなものであるとか、厚手のウール地の「ピーコート」の身頃がダブルになっているのは、船員が風向きによって左右どちらを上にしても着られるようになっているとか、服飾に関するデザインの話は枚挙にいとまがありません。
「デザイン」には「メッセージ」が必ずあります。これが2022年8月に展開するスペーズの新しい挑戦にとても関係があります。どうぞ、お楽しみに!!
以上
「アレ通信」第二号は、2022年7月16日の記事
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