メンバー座談会「わがまま相談所」を終えて「中編」
── それぞれの役を演じてみてどうでしたか。
圭 「石川」は、社会に出たばかりのペーペーというキャラクターを想定しました。何かを始めたばかりの時っ
て色々な壁にぶつかって、すぐ諦めたくなるじゃないですか。(笑) きっと誰もが通る道を歩んできたんだろ
うな、と。そういう人物をうまく出来たかどうかはわからないのですが・・・
涼 今日は、自分的には「お。よし」と思うところがありました。稽古では「鈴木」の性格がちょっとキツめに
なったりして、ちょっと違うなと思ったりしていました。でも、本番では「石川」に対して「わかってくれ
たね。君は出来るんだよ」と「石川」を信じるような表情を表現できて自分的には「ビタッ」と来ました。
「よしよし」と思ってたんですけど、お客さんからは「家族を養ってる感」がもう少し出せたらいいね、と
言われました。いかにしたら妻子を養っていた人なのかを体現できるかが課題です。
── それ以外では、今日のところは「壁クリア」ですか?
涼 そう言いたいんですけど、もうちょっと頑張ります。感情の起伏も大きく、難しい役をやったね、とお客さ
んには言ってもらえました。でも、まだ、深く掘れる役だなと思いまた。
── お客さんは役者の鏡です。お客さんの意見から次の課題が見つけられたのは、よかったのではないでしょう
か。楽しみですね。次は「石川」をやってみますか?
涼 え? 鈴木の続きを頑張ろうと思ってたんですが、「石川」ですか?
── マルチキャストですからね、スペーズは。どうなるかはわかりませんけど。
涼 なんであっても、一所懸命頑張ります。
彰 「佐藤」については、自分を徐々にキャラクターに近づけていくという感覚が、実は薄かったんです。たぶ
ん最初の時点から「自分自身にかなり近いところにいた」キャラクターだったからでしょう。
── 「佐藤」という登場人物に「鈴川 彰」が近いという意味ですか?
彰 そうです。ほかの2人の登場人物は「他力本願」な人たちじゃないですか。自力でどうにもならなくて「わ
がまま相談所」に来ているという。そういう人間に対して冷ややかな態度をとる、と設定しちゃったんです
よね、最初は。そういうところが自分に近いのかな、と。
でも、実は「佐藤」はいい人なので、相談者に対して親身になります。もちろん自力で立ち直れそうな人に
はケツをたたくという厳しい態度もとるのでしょうけど。自分と「佐藤」は近いけれど、そういう心の持ち
主なんだというところには寄せていかなければならなかったので、ちょっと大変でした。
── 一般的には、役作りは、自分と違うキャラクターに近寄っていかなければなりません。しかし、今回は逆に離
れていかなければならなかったということですね。
彰 はい。「佐藤」のキャラクターが自分と近いのに、微妙なところに違いがあるため、自分自身から距離を離
すという作業に腐心しました。自分のほうが「佐藤」より「クール」な部分があると分かった時点で本当の
自分との微妙なズレを、いかに修正していくかということです。
キャラクターが遠ければ、そちらに「近づけて」いけますが、今回は「離さ」なければなりませんでした。
さらに考え方の「クセ」とかを出ないようにするというのが難しかったです。
『座談会「わがまま相談所」を終えて「後編」 』に続く
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