メンバー座談会「わがまま相談所」を終えて「後編」

── ところで今日のMCで圭が「この3人だから出来た」と言っていましたね。なぜ、そう思ったのですか?


圭  スペーズをやってて、日々、色々な技術を身につけていくじゃないですか。家族との時間は削られていくけ

   ど。それでも色々と身についているんだなーって思ったときに、これってなんか物語になりそうだと思った

   んです。その時はメンバーが4人いた時です。でも書いてはみたものの、シリアスで真面目な内容だったの

   でスペーズでは上演は難しいかなと思っていました。


── 自分の「生誕祭」なので、挑戦してみようと思ったのですよね。


圭  はい。書き直すにあたって、ああ、この3人だったら、ちゃんと芝居にしてお客さんに見てもらえるんじゃ

   ないかって思いました。そして、お客さんの感情を揺さぶれるんじゃないかと考えて完成させることができ

   ました。ボクたちは色々なものを犠牲にしてスペーズで活動して、色々な技術やパフォーマンスを身につけ

   ています。確かに支払ったものは大事なものではあるけれど、得るものも大事なものです。スペーズの活動

   は楽しいから、対価は対価だけど、いやいや支払っているんじゃないんだよっていう気持ちをこの物語で伝

   えたかったんです。果たしてそれが伝わるのか、僕たちの演技力が追いつくのかという不安はありました。

   舞台におろすまでは無茶苦茶不安だったんですけど、終わったあと、お客さんから色々なご意見をいただけ

   てそんなにヒビらなくてもよかったなと思いました。


── で、やってみた結果が「この3人だから出来た」ということだったんですね。ところで今日の「鈴木」(桐山

   涼)と「佐藤」(鈴川 彰)はいかがでしたか。


圭  涼の「鈴木」は難しい役だったと思います。以前から涼には、真面目な芝居をやってもらいたかったので、

   それが出来てよかったなと思っています。稽古の途中からボクのイメージしている鈴木にどんどん近づいて

   いっていました。この役を涼くんにやってもらって色々な意味でよかったです。彰の「佐藤」は「彰くんだ

   な」ってカンジでした。それは、役作りが出来ていないということではなく、様になっているなとか、近い

   のかなと。役の性格と雰囲気が。特に最後の長セリフのところは今回の本番が一番力強さを感じました。


涼  最初、台本を渡されたとき、「大丈夫か!?」と思いました。そもそもボクは、どの台本でもそうですが、訛

   りからなおさなければいけません。そういうプレッシャーがあって、今回もところどころ訛りがあったと思

   います。しかも難しい役どころで。最初は物語の内容も、よく解釈できていなくて。圭が最初、ボクに台本

   を渡したとき、「涼くん、ゴメンね」って言ったのです。圭に謝らせてしまったことが申し訳なくて。圭の

   理想とする「鈴木」になりたいと思って役に落とし込んでいきました。難しかったけど遣り甲斐がありまし

   た。普段やらないキャラクターだったので・・・


── ところで佐藤が「コールセンターごっこです。付き合ってあげてください」というところで笑いが起きました

   ね。


彰  涼(鈴木)がコールセンターごっこをする時に、毎度、「佐藤」に断りを入れます。そのあと石川に「電話出

   ろよ」という合図のつもりで、受話器を置くところをカシャカシャと押すのですが、それを見るたびに「涼

   くん、電話切ってるよ、それじゃ」と心の中で突っこんでいます。


全員 (笑)


彰  お客さんが笑ったところは、そこではないかもしれません。でも、毎回、アレが気になってしょうがないん

   です。


涼  最初、自分はあそこはお笑いの部分なのかな、って思ってやってたんですけど、稽古するうちにそうじゃな

   いなって思っていったんです。でも、お客さんがみんな笑うんで「ここ、笑うとこじゃないぞ」って思って

   たんですが・・・


圭  いいの、いいの、あそこは笑ってくれれば。


涼  あ、そうなの? じゃあ、よかった。(笑)




── この台本は「当て書き」(その役を演じる俳優をあらかじめ決めておいてから脚本を書くこと) じゃあないんで

   すよね。


圭  はい。当て書きのつもりではなかったですね。誰がどこやってもいいなぁ、と思っていました。


── では、次回はキャストが変わることもあり得ますね。


圭  自分は、鈴木か佐藤か・・・


涼  じゃあ、ボク、石川かな。


圭  なら、彰が鈴木なんてはどうかなぁ、って思ってます。


── マルチキャストででも見たいてすよね。同じストーリーでもキャストが変わると違うモノができるから、お客

   さんに見て欲しいですよね。楽しみにしておきましょう。


圭  「わがまま相談所」の初演。見ていただき本当にありがとうございます。お芝居的には、まだまだ粗削りだ

   ろうなと思います。お客さんからは「一回じゃ足りないからもっと見たい」とか、「怖かった」とか、さら

   には「長かった」というご意見も頂きました。また、芝居後のMCで芝居の内容に触れて、もっと盛り上げ

   るとよかったのにとも言われました。そういう部分も含めて、是非、再演させていただきたいと思っていま

   す。


── 再演の機会はまたありそうですね。スペーズの新しい可能性が広がったと思います。

   お疲れ様でした。


全員 お疲れ様でした。

                                                 以上


2022年4月24日(日) ROXX栄にて

出席者 男装パフォーマンスユニット「SPADES」(スペーズ)

    桐山 涼、鈴川 彰、高月 圭


男装パフォーマンスユニットSPADES

名古屋・栄を拠点に活動する「男装」のパフォーマンスユニット。 歌・ダンス、芝居、お笑いと幅の広いジャンルで活動しています。 キャッチコピーは「あなたの夢を叶えます」。