高月 圭 と 台本

 スペーズに入った時、どのメンバーも実践的な芸能の経験はほとんどありません。何に向いているかもわかりませんし、どんな才能を秘めているかもわかりません。

 スペーズはメンバーに様々なタスクを与えます。それらの経験の中から、本人の特性を探っていきます。そのひとつが「短編台本を書く」ことです。文章を書くこと、ストーリーを作ることの得意、不得意はあると思います。別に書けなくたって、失うものはないわけですから、怖がることはありません。こちらも怒ったりはしません。書けないことが悪いことというわけではありませんから。

 でも、逆に「書ける」という発見をすると、本人は大きく成長します。高月 圭は、そのパターンです。インタビューにもあるように圭は「スペーズに入ってから、台本を書くという素っ頓狂なことをするようになりました」。

 そして、「台本を舞台に乗せることで、自分の思考がちょっと変なんだと発見がありました」と言っています。

 「自分にとっての当たり前」が、必ずしも「他人にとっての当たり前」ではないということに気がついたのです。自分の「個性」を意識できるようになったということです。そして、その「個性」には「価値」があるかもと感じ始めています。

 代表作「夜、公園」のブラックホールを身に宿した変質者。思いつきそうで思いつかない設定です。やはり「思考がヘン」な人なのかもしれません。

 卒業生・朝霧 樹との合作「キドラアローン 前日譚」は、劇場長編映画「キドラアローン」(監督:林 一嘉) で本人が演じた登場人物の エピソード0 といえる話です。想像力が豊かでないと、フィクション中のキャラクターの人生は描けません。そういう想像力って、クリエイティブな仕事をしていないと生かせない能力ですよね。

 

 最近は「生徒会」シリーズを書くのが、たいへんだけど楽しいようです。メンバーの個性に合わせたセリフがポンポン浮かんでくるようです。毎回の公演のテーマに合わせたネタなので、上演の機会は一度きりです。もったいないですよね。でも、そこに価値があります。是非、定期公演「スペーズ ワンマンショー」でご覧ください。

                                         




 

男装パフォーマンスユニットSPADES

名古屋・栄を拠点に活動する「男装」のパフォーマンスユニット。 歌・ダンス、芝居、お笑いと幅の広いジャンルで活動しています。 キャッチコピーは「あなたの夢を叶えます」。