進化する「ダイナゴヤ」
スペーズのオリジナル楽曲は2つに分類できます。
「定番曲」と「企画曲」です。
「定番曲」はワンマン自主公演でも外部公演でも時と場所を選ばずに演奏できる「スペーズの代名詞」と言える楽曲です。「アノソラヘ」「カゼタカク」「イキマクレ」「バクリョク」「チギリノヒ」などセットリストに頻繁に編成される曲がそうです。
一方、「企画曲」は、それぞれに「ある目的」を持っている曲で、個性的な曲です。元号が改まった時にリリースした「令和ディスコ」(レイワネツ by 令和dan-C(れいわだんし))や、パラパラを踊ってみせるユーロビート調の「アイルビー」が分類されます。
中でも異色なのが、昭和の「ムード歌謡」をリスペクトした「ダイナゴヤ」です。「ムード歌謡」というのは戦後の日本で独自に発展した音楽ジャンルのひとつです。主に男女の出会いや別れをテーマにした歌が多く、昭和時代にはたくさんのヒット曲が生まれています。
「ムード歌謡」にはもう一つ特徴があります。歌詞の物語の舞台が地方都市であったり繁華街や夜の街であるケースが多いのです。「ご当地ソング」として親しまれている歌もたくさんあります。
「ダイナゴヤ」は、そんな「ムード歌謡」をリスペクトして作った曲です。ただし、単純に「ムード歌謡」を演奏したのでは、男装パフォーマンスユニットとしてはモノ足りませんので。いくつかの仕掛けをしてあります。
たとえば、「ムード歌謡」を歌う男性グループでよくあるのがメインボーカル1人とコーラス数人という編成です。スペーズもその編成になっていますが、コーラスがやや過剰となっています。「♪パパヤパパヤ」とか「♪チュチュルチュチュル」とか「♪シュビドゥバ」とかいうやつが様々なバリエーションで含まれています。こんなにコーラスがウザい「ムード歌謡」は他にはないはずです。
また、「ムード歌謡」の普通のコーラス隊は、マイクの前でユラユラと体を揺らす程度ですが、スペーズの場合は、やけに踊っています。なんならメインボーカルより目立っています。さらには終盤でメインボーカルの行く手を邪魔するコーラスも出てくる始末です。これは今後の伏線となっているのですが、伏線を回収できるのは、もう少し先かもしれません。
そもそも「ダイナゴヤ」は、アイドル現場で披露する曲ではなく、スーパー銭湯のステージや屋外イベントなど、ちょっと大人の人たちが多い場所でパフォーマンスするためにリリースしたものです。
ところが今の世代 (7期生、8期生) のメンバーは、「面白いから」と言って、最近のセットリストに入れるようになりました。
もちろん闇雲に編成しているわけではなく、「このイベントは屋外無銭で行き交う年配の人も多そう」とか「ノンジャンルイベントだから「アイドル曲以外もやってみよう」という具合に時や場所は選んでいます。
それにしても彼らは、「昭和ムード歌謡」に抵抗がないようです。
「男装パフォーマンスユニットなんだから、こんな曲があったっていいと思いますよ」と言っています。頼もしいです。
(ライブ写真)
メインボーカルが自由すぎて、ステージからどんどん遠ざかっていく様子。
慌てて戻ってくるけどステージ前を通り過ぎて反対方向へ。
その様に笑いがと切らないメンバー。
「何か問題でもありましたか?」
メインボーカルの行く手を遮るコーラス隊。
楽曲「ダイナゴヤ」は、彼らの手によって新しい形に進化していっているようです。
以上
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