“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 八十二通目『ジョハリの窓』


◆“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 八十二通目『ジョハリの窓』


 「ジョハリの窓」というものがあります。自己分析に使用する心理学モデルの一つです。1955年にアメリカで「対人関係における気づきのグラフモデル」として発表されたものです。考案した心理学者のジョセフ・ルフトとハリ・インガムの二人の名前から「ジョハリの窓」と呼ばれています。

 自分と他人の認識にはズレがあることを理解する自己分析ツールです。人は自分のことは自分が一番よく知っていると思いがちです。しかし、実際は自分のことゆえに自分では見えないところもあるということを「ジョハリの窓」は教えてくれます。


 「ジョハリの窓」は田んぼの「田」の字のような図形で解説されます。田の字にある4つのマスにそれぞれ “窓” が当てはめられています。


 「自分は知っているし、他人も知っている “自分”」(開放の窓)

 「自分は知っているけど、他人は知らない “自分”」(秘密の窓)

 「他人は知っているけど、自分は知らない “自分”」(盲点の窓)

 「他人は知らないし、自分も知らない “自分”」(未知の窓)


 この4つです。


 このように自分自身が見た “自分” と他人から見た “自分” の情報を分析することで、これまでに見えていた “自分” と見えていなかった “自分” の両方を確認できるのです。



 さて、芸能の世界においては、この「ジョハリの窓」は大切なことを示唆してくれます。ポイントは「盲点の窓」と「未知の窓」です。


 人には「他人は知っているけど、自分は知らない “自分”」があります。つまり、ステージの上にいる君のことについては、「お客さんのほうがよくわかっている “君”」が実はいるのですよ、ということです。


 「自分はこういうタイプ」だからと思っているかもしれません。しかし、お客さんは「あなたは、こういうところが素敵なのよ。どうしてそこを磨かないの?」と思っていることが、きっとあるのです。

 または「自分はこうであるほうがカッコイイ」と思っているかもしれませんが、お客さんは「どうしてそんなことをしているの? 独りよがりもいいとこだわ」と思っていることもあるということです。


 「盲点の窓」(他人は知っているけど、自分は知らない “自分” ) は、「客観的な意見やアドバイス」が、いかに重要かを教えてくれます。



 そして、芸能の世界は「他人は知らないし、自分も知らない “自分”」を開拓していってくれます。


 ステージの上の自分を磨くために日々修練を積み、パフォーマンスを披露し、お客さんから評価を受ける。これを繰り返す中で、「新しい自分」や「自分の可能性」に気が付いていくでしょう。


 これこそ「未知の窓」(他人は知らないし、自分も知らない “自分”) の「開放」です。


 そうなのです。「ジョハリの窓」は教えてくれているのです。


 「芸能の世界」が、君を「新しい君」に導いてくれるものであることを。

                                                以上



「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 八十一通目」は2023年8月2日の記事

「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 八十三通目」は2023年8月16日の記事

男装パフォーマンスユニットSPADES

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