宝塚とローカルアイドルの世界
以前、宝塚歌劇団出身の元男役の先生に期間限定で「男役っぽさ」 (宝塚は男装ではなく、男役です) を教授していただいたことがあります。所作、ダンス、歌の指導をしていただきました。
この時の話です。メンバーが歌のレッスンの時に少しだけ「楽譜を読むこと」で手間取ったことがあります。正確に言うと「音階が読めない」のではなく、「音階どおりの音が歌えない」ということがあったのです。
楽譜どおりに歌うためには、やはり最低限の経験とトレーニングは必須です。「ドレミ」と読めるのと、譜面で「ドレミ」と見た瞬間に正しく音を発声するのとは、似て非なることなのです。
楽譜を目で見ただけで、すぐに書かれた旋律・和音・音程・リズムを歌う「読譜」(どくふ) は決して簡単なことではないのです。
レッスンが終わり、メンバーが帰った後に先生とミーティングをします。先生から「読譜ができない」との指摘を受けました。
宝塚を目指す人たちは当然のように幼少の頃からピアノや歌、バレエ、日舞を習っています。読譜はできて当たり前の世界なのです。先生には「読譜のレッスンも私のところで出来ますよ」と言っていただきました。
子供の頃から英才教育を受け、宝塚音楽学校の狭き門を通り、宝塚の舞台に立ってもトップになるのはほんの一握りの人たちです。必ずしもトップでなくてもいいのかもしれませんが、子供の頃から大変な努力をしていることだけは確かです。
一方でローカルアイドルの世界は、特別な教育を受けてきていなくても、その後の努力次第では、ステージでスポットライトを浴びることが出来ます。もしかすると、さらに上の世界に行けるかもしれないという夢を見させてくれる場所です。
英才教育は受けていませんし、宝塚の大劇場には出演できないかもしれませんが、「この世界ではトップ」になれる可能性があると信じることが出来るのがローカルアイドルの世界です。
「読譜」が出来るようになるよりも、「この世界」でより評価されるための他のレッスンに時間を使ったほうが有効という考え方はあっても良いと思います。
芸能の世界にあこがれる年齢が、ちょっと遅かったという人たちにも、広い門が開いている。これがローカルアイドルの世界の良いところだと思います。
以上
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