“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百四十通目『悪いものも参考にする』


◆“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百四十通目『悪いものも参考にする』


 「人の振り見て我が振り直せ」という言葉があります。

 人から学ぶというと、つい「出来ている人」「すごい人」「成功している人」「尊敬できる人」をお手本にすることを考えてしまいます。

 でも、お手本になるのは良いものだけではありません。

 「これはイヤだな」と感じた人からも、たくさんのことを学べます。


 たとえば君がアイドルとして活動していて、何組かの出演者と同じイベントに出たとします。合同の控室に入ってきても、挨拶をしない人がいると、

「あれ? 挨拶しないんだ」と

君はちょっとイヤな気持ちになるのではないでしょうか。


 物販交流会で、お客さんと必要以上にベタベタして、ずっと内輪の雑談ばかりしている人がいると、

「あれでいいのかなぁ」と

と思うのではないでしょうか。


 そんな時に大切なのは、「あの人、イヤだなぁ」だけで終わらせないことです。

 なぜ、自分はイヤだと思ったんだろう?

 ここを考えてみてください。


 挨拶をしない姿を見てイヤだったのなら、

「同じ場所で仕事をする人への敬意が感じられなかったから」

なのかもしれません。


 お客さんとベタベタしている姿がイヤだったのなら、

「一部の人だけが特別扱いされているように見えたから」

「初めて来たお客さんが入りにくそうだったから」

「アイドルとファンとの距離感として、自分の理想とは違ったから」

なのかもしれません。


 ここまで考えると、単なる「嫌い」が、自分にとって大切な情報に変わります。

 そのためには、「イヤだと思った理由」をまず言葉にすることが大事になります。


 そして、その「イヤと思うポイント」を自分に置き換えてみてください。

 「じゃあ、自分は控室に入ったら、ちゃんと挨拶しよう」

 「いつも来てくれる人だけではなく、初めて来てくれた人も居心地よく感じられる交流会にしよう」

 「誰かから見た時、自分も同じことをしていないかな?」

 そう考えられるようになります。


 悪い例について言語化して考えることには、もう一つ良いところがあります。

 「なぜ、それをしてはいけないのか」が理解できることです。


 「挨拶をしなさい」と言われたから挨拶する。それだけでは、単なるルールです。

 でも、挨拶をしない人を実際に見て、

「こういう空気になるんだ」

「周りの人はこんな気持ちになるんだ」

と分かったうえでする挨拶は、意味が違います。


 「お客さんを大切にしなさい」と言われるだけでは分からなかったことも、良くない接し方を目の前で見ることで、

「自分なら、こうしたい」

が見えてきます。


 それは、誰かに教えられたマナーではなく、君自身が理解して選んだ行動です。

 だから、自分のものになります。


 大事なのは、相手を批判することではありません。

 相手を見て、自分を見ることです。

「ああいうの、イヤだな」

と思ったら、その感情を捨てないでください。


 なぜイヤだったのか。

 どこがイヤだったのか。

 自分だったらどうするのか。


 そこまで言葉にして、ちゃんと理解してください。

 そして、自分のものにしてください。


 良いものからは、「こうなりたい」を学ぶ。

 悪いものからは、「こうならないようにしよう」を学ぶ。


 悪いものを見た時こそ、ただ嫌うだけで終わらせないでください。

 そこには、君が“何者か”になるためのヒントが隠れているのですから。

                                               以上


「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百三十九通目」は2026年8月19日の記事

「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百四十一通目」は2026年9月2日の記事

男装パフォーマンスユニットSPADES

名古屋・栄を拠点に活動する「男装」のパフォーマンスユニット。 歌・ダンス、芝居、お笑いと幅の広いジャンルで活動しています。 キャッチコピーは「あなたの夢を叶えます」。