“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百二十八通目『吸い尽くす力』
◆“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百二十八通目『吸い尽くす力』
君は稽古中、先生の口から出る言葉だけを頼りにしてはいませんか?
先生が「もっと腕を大きく振って」と言ったら腕だけを見る。「目線を上げて」と言ったら目線だけを意識する。
もちろん、それは間違いではありません。でも、それだけでは足りないのです。本当に伸びる人は、先生が今話していること以外のところも見ています。
そういう人は、ダンスのレッスンなら、先生が腕の振りの説明をしている時でも、頭の先から足の先までを観察しています。姿勢はどうなっているのか。重心はどこにあるのか。首の角度はどうか。指先はどうなっているのか。足の置き方はどうか。リズムの取り方はどうか。
先生が説明していないことの中にこそ、大事なヒントが隠れていたりするものなのです。
レッスンは「教えてもらう場所」だと思っている人がいます。でも、本当に「成長する人」は「盗みに行く場所」だと思っているのです。
少し品のない例えになりますが、コップのジュースをストローで飲むところを想像してみてください。だいたい最後まで飲んで満足する人もいるでしょう。でも、「成長する人」は違います。最後の一滴まで吸い尽くそうとする。コップの底に残ったわずかなジュースまで逃さない。時にはズルズルと音が鳴るまで必死に吸い尽くそうとする。
そこには、恥も外聞もありません。ただ、「吸収してやろう」という強い意思だけです。
「そこまでしなくてもいいのでは」そういう人もいるでしょう。でも、先生から何かを学ぼうとするなら、そのくらいの執念が必要なのです。
先生が与えてくれるものだけを受け取っていても、先生には追いつけません。先生が見せているもの。先生が話していないもの。先生が無意識にやっているもの。
それらを自分の力で見つけ出し、吸収し、盗み取っていく。
その積み重ねが大きな差になるのです。
「もっと教えてください」 と言う前に、「自分はもう吸い尽くしただろうか」と考えてみてください。
先生の前に立った時。鏡の前に立った時。レッスンを受ける時。コップの底に残った最後の一滴まで吸い尽くすような気持ちで向き合ってほしいのです。
そして、その姿勢を持つ人だけが、いつか先生を越えていくのだと思います。
以上
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百二十七通目」は2026年5月27日の記事
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百二十九通目」は2026年6月10日の記事
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