“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百二十通目『その役はなぜ、そこにいるのか』
◆“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百二十通目『その役はなぜ、そこにいるのか』
舞台芝居で演技をするとき、君は「その役はなぜ、そこにいるのか」を意識できていますか?
おそらく舞台に立っているとき、君は「自分がどう見えているか」を気にしていると思います。
「かっこよく見えているか」「可愛く見えているか」「上手く見えているか」「おかしくないか」「浮いていないか」などなど。
それは大切なことですし、まずそれを意識することは無理もないことだと思います。
しかし、観客が本当に感じているのは、「その役がなぜそこに立っているのか」という理由なのです。
人は、理由のない行動に違和感を覚えるものです。どれだけ整った表情でも、どれだけ完成された演技でも、そこに理由が見えなければ、どこか空虚に見えてしまうのです。
君がそこで「一歩前に出るのは何故か」「なぜその言葉を発するのか」「なぜその動きを選ぶのか」「なぜ今、その感情になっているのか」。
すべてに、理由を持ってほしいのです。
そして、その役は芝居の時間の中で、「何を求め」「何に影響され」「何を与え」「何を求め」「何を目指し」「何を障害としているのか」。
それらを意識して、周囲との関係を考え始めた瞬間に舞台は一気に立体的になるのです。
共演者の呼吸を感じ、空気の流れを感じ、観ている人の反応を感じる。
それらのすべてが、君の「理由」に影響を与えていくのです。舞台の上での理由は、一人で作るものではありません。周囲との関係の中で生まれ、関係の中で変化していきます。
君は常に「感じて」いなければいけません。そして、その場で生まれた理由をもとに、選択をしていかなければなりません。その選択の積み重ねと連続が、舞台の上でその役がその存在を強くしていくのです。
やがて観ている人は、「この人は、生きている人だ」と感じるようになるのです。
それは、技術だけでは生まれない感覚です。
「その役はなぜ、そこにいるのか」という理由を持って立つということは、舞台の上で生きるということと同義です。
だから、どんな小さな瞬間でもかまいません。「一歩踏み出すとき」「視線を動かすとき」「言葉を発するとき」「感情をあらわにするとき」。
そこに必ず、理由をみつけてください。君が理由を持って立つことができれば、君は、きっと「何者か」になることができます。
以上
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百十九通目」は2026年4月1日の記事
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 二百二十一通目」は2026年4月15日の記事
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