高月 圭「スペーズに入って初めてビビッときた瞬間」


 現在はフロントスタッフとして、ダンス、演技など、後進の育成を担当している高月 圭に質問しました。「スペーズに入って初めてビビッときた瞬間」はどんな時ですか?


〇高月 圭

 「ビビッと」…手応えとか何か得たものがあったときのことでしょうか。


 現役時代はもう2年も前のことなので記憶がおぼろげです。とはいえ、一番強く覚えているのは芝居の稽古の時のことです。

 演技の先生の指導のもと、「コント 家庭教師」という演目の稽古をやっていました。台本の最後に「このコントはもう終わりだ」という台詞がありました。コントが終わりなら挨拶をしてステージから出ればよいのだろうと考えて、お辞儀をしてみました。すると先生から「おもしろい」と褒めていただいたのです。ビビッときました。

 それまでは、芝居の稽古というものは、演出家の考えている正解を探して、それを見つけるまでの作業だ、と思っていたのです。けれど全然違ったのです。お芝居というものは、演出家と俳優が一緒に舞台を作っていくものであり、「この台本の中の人だったらこう動く」って俳優は考えて動いていいんだ、と気づいたのです。

 正解を探して、演出家や周りの人に何かを与えてもらうばかりだった自分をなんてバカだったんだろうと反省しました。

 この時にビビっときて以来、急に芝居が楽しくなったのが印象深いです。


 ビビッときた瞬間は、他にもあります。ライブハウスである女性グループのステージを見た時です。ある楽曲で、いわゆる前ノリという動きがありました。よく観察してみたところ、どういう風に体を使っているのかがわかりました。その時、「こうやって動かしたらかっこよくできるんだ!」とビビッときました。

 しかし、いざ真似してみたら体幹筋力がとても必要で、もっと体の芯から動かさないといけないんだとわかったのです。ダンスは動きを観察し、真似てみて、どこをどう動かすかを研究して、自分の体を磨かないとカッコよくならないんだとわかりました。


 他にもライブ中に指先まで意識が届いて「ビビッ」と来たこともありますし、お客様たちの楽しそうな顔を見て「ビビッ」ときたこともあります。自分の書いた台本でお客様が笑ってくれたときも「ビビッ」ときました。メンバーと阿吽の呼吸で芝居が出来たり、楽曲中にアインタクトがとれた時も。これは「ビビッと」よりも「カチッと」かもしれません。


 改めて思い返すとたくさんの「ビビッ」が僕を成長させてくれたんだと気が付きました。

 これからも「ビビッ」を逃さず、成長の種にしていこうと思います。


                                                以上

男装パフォーマンスユニットSPADES

名古屋・栄を拠点に活動する「男装」のパフォーマンスユニット。 歌・ダンス、芝居、お笑いと幅の広いジャンルで活動しています。 キャッチコピーは「あなたの夢を叶えます」。