「君待つと」


 2025年2月16日(日)に開催した定期公演「スペーズ ワンマンショー 119 君待つと 編」。

 タイトルの「君待つと」は、スペーズのオリジナル曲の「キミマツト」のことです。

 2015年にグループを結成したスペーズは、2017年に「歌唱パフォーマンス」に力を入れた「活動の第2章」を始めました。

 その「第2章」に発表した1曲目が『キミマツト』です。


 歌の解釈は聞き手 (オーディエンス) によって様々でしょうし、自由です。なので、「こういう歌ですよ」と解説するのは野暮というものです。

 しかし、歌の「背景」についてはお伝えしようと思います。


 2017年から第2章を始めるにあたって、「最初の楽曲の底辺には、古 (いにしえ) から日本人の感覚にあるもの」を題材にしようと考えていました。

 そして、それを「万葉集」に求めたのです。


 文化、風習、常識、価値観が現代と違う古典とはいえ、「あ、この感覚は今でも理解できる」という歌があります。


 そのひとつが次の歌です。


「君待つと吾が恋ひをれば我が屋戸のすだれ動かし秋の風吹く」

(きみまつと わがこいをれば わがやどの すだれうごかし あきのかぜふく)


 飛鳥時代の女性歌人・額田王 (ぬかたのおおきみ) の歌です。


 意味は、恋しい人が訪ねて来るのを待っていると、微かにすだれが動き、はっとして見ると秋の風だったといったものです。

 好きな人の訪れを今か今かと期待するあまり、風が立てるような少しの物音やすだれの揺れにも敏感に反応してしまうという女性の気持ちが詠まれています。


 スペーズの楽曲「キミマツト」には、恋愛のこと以外にも「訪れ」を期待する物語を織り込んでいます。意図的に複数の読み取り方ができるように作ってあります。

 そのため、この歌を聞く人によってはそれぞれの解釈が生まれるのだと思います。


 あなたは「キミマツト」をどのように受け止めてくれていますか。

 スペーズのパフォーマンスを観たら、是非、教えてください。

                                                以上



男装パフォーマンスユニットSPADES

名古屋・栄を拠点に活動する「男装」のパフォーマンスユニット。 歌・ダンス、芝居、お笑いと幅の広いジャンルで活動しています。 キャッチコピーは「あなたの夢を叶えます」。