“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 百五十九通目『一を聞いて十を知る』
◆“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 百五十九通目『一を聞いて十を知る』
「一を聞いて十を知る」。これは「論語 (ろんご)」にある言葉です。
「論語」とは「世界四大聖人 (四聖)」のひとり、中国の「孔子 (こうし)」の言葉を集めた書物です。
「世界四大聖人 」とは、儒教の始祖「孔子」、キリスト教の礎「イエス・キリスト」、仏教の開祖「釈迦」、古代ギリシャの哲学者「ソクラテス」の4人です。
「一を聞いて十を知る」とは、「物事の一部を聞いただけで全部を理解できる。 賢明で察しのいいことのたとえ」です。
孔子の弟子の中に非常に頭のよい人物がいました。その人物のことを別の弟子が、「彼は、一を聞いて十を知ることができます。自分は一つ聞いて二つを理解するので精一杯です」と答えました。すると孔子も「私も彼には及ばないよ」と言ったという故事が元となっています。
もし、君が「芸能の世界の人」でないのなら、「一を聞いて一を知る」人でも構いません。そういう生活をしていても何も問題はありませんし、誰も不満は言わないでしょう。
でも、「芸能の世界の人」は、それではいけません。「一を聞いてひとつでも多くを知る」努力が求められますし、その努力をする人だけが生き残っていけます。
芸能の現場では、周囲の人が何から何まで丁寧に教えてくれるとは限りません。なんなら「自分のことは自分でやれ」「そんなことも知らないのか」「ちょっとは頭を使って工夫したらどうだ」と “思われる” (最近はコンプライアンスの問題があるので口に出して言われませんが) ことのほうが当たり前だからです。
「稽古場で習ったこと」「先生や先輩、上司の助言」「ライバルの一挙一動」そして「自分の現場経験」を手掛かりに「全体像を把握」しなければなりません。
誰も「全部」を教えてくれない、自分がしっかりしなければいけない、と覚悟してください。そういうものなのです。
そして、君が「一を聞いて十を知る」ために必要なのは、「観察力」と「想像力」です。
「誰がどこでどんなことをしているか」を常に注意して観察してください。そうすれば
「ああ、あれは、あーやっているのか」「なるほど、あーゆーふうに使うのね」「そーか、こーゆー時は、あれをマネすればいいのか」と「見えてくる」はずです。
現場でぼーっと突っ立っているだけではいけませんよ。これは稽古場でも同じです。
次に「あれはなんでなんだろう」「もし、こうなったらどうするんだろう」「どんな仕掛けなんだろう」「ひょっとしたらこういうことなのかも」など、「なぜ?」と疑問に感じたり、「仮説」を立てたりしてください。
そのためには「想像する力」が必要になります。
「芸能の世界」は競争の世界です。生き残っていくためには、「観察力」と「想像力」を駆使して「一を聞いて十を知る」人になってください。
以上
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 百五十八通目」は2025年1月29日の記事
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 百六十通目」は2025年2月12日の記事
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