“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 百四十六通目『“面白かった”のひと言で終わらせない』
◆“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 百四十六通目『“面白かった”のひと言で終わらせない』
ドラマや映画、演劇などを観た後、誰かに感想を求められた時に君は「面白かった」のひと言だけで返答を終わらせていませんか。
一般の人ならそれでも構いません。でも、芸能の世界にいる君はそれではダメです。君に感想を聞くその人が求めているのは「君がどんなことを考えているか」なのです。
「面白かった」のであれば、「どんなところが」「どんなふうに」「どうして」面白かったのか。「何か得たものはあるのか」「どんなことを類推するのか」「製作した人は何を目指したのか」「評価すべき演出はあったのか」「観客に何を与えたいのか」「出演者はどんな努力や工夫をしていると思うのか」。
そういうことを聞きたいのです。そういうことから君がどんな人であるかを知りたいのです。一般の人とは違う発想や視点を持っているかどうかを確かめたいのです。
「へー」とか「ほー」とか「なるほど」とか言わせてほしいのです。できれば感銘を受けたいのです。きっと芸能の世界にいる人なのだから、一般の人とはひと味違う見方をしているのだろうなという驚きを与えもらいたいのです。
逆に「面白くなかった」のであれば、「何がいけなかったのか」「なぜ、心を打たれなかったのか」「どこをどうすれば面白くなるはずだったのか」といった君の考えを伝えてほしいです。
「どうだった?面白かった?」と質問する人に対しては、このように「面白かった」のひと言で終わらせることのないようにしてください。
もうひとつ重要なことがあります。
決して「評論家になれ」と言っているわけではありません。
重要なのは「語れるか」ということです。良い面であれ悪い面であれ、観察し、比較して、考察し、理解しなければ人に語ることは出来ません。
人に語れるようになるまでの過程で、自分自身に役立つことがあるかどうかの取捨選択もできます。そうすることが、自分の芸を磨くことにつながるのです。
いってみれば、「面白さ」を咀嚼して、消化して、吸収し、自分の血肉にできるかどうかということです。
ドラマや映画、演劇などを観て、単に「面白かったのひと言で終わる人」と、「面白さの内容を語れる人」では、同じエンターテインメントに触れても成長に差が生まれます。
君は「“面白かった”のひと言で終わらせない」人を目指してください。
以上
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 百四十五通目」は2024年10月23日の記事
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 百四十七通目」は2024年11月6日の記事
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