“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 百二十七通目『当たり前のようにあると思ってはいけない』
◆“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 百二十七通目『当たり前のようにあると思ってはいけない』
今、君の周囲にある様々なものが、当たり前のようにあると思ってはいけません。
例えばレッスン。今、君に稽古をしてくれる先生はいつ、別の先生に変わるかわかりません。先生にも都合はありますし、先生を雇っている側にも都合があるかもしれません。毎回、可能な限り今の先生のスキルを吸収しようと努力するべきです。
例えば稽古場。今、君が通っている稽古場が別の場所になったり、なくなったりするかもしれません。稽古場が自分たちのものであれば、そういう心配はありませんが、稽古場の持ち主が稽古場を畳んだり、事情が生じて使えなくなったりするかもしれません。
例えば出演、出場の機会。君がパフォーマンスを披露する場所がライブイベントだったり演劇だったり、メディアだったりする場合、そういう君の出番を担保する機会がなくなるかもしれません。イベントがなくなったり、主催者がいなくなったり、番組がなくなったり、舞台がなくなったりすれば、君は表現の出口を失います。
例えばオファー。君に出演して欲しいという要請がなくなるかもしれません。出演しているライブハウスの経営が苦しくて、もっと集客を見込めるアーティストにライブハウスを使って欲しいと考えれば、君への出演オファーはなくなります。イベント主催者が、もっと入場者を増やしてくれる出演者をブッキングしたいと考えれば、君へのオファーがなくなることもあり得ます。
例えばお客さん。今、君を応援してくれているお客さんが、いつまで君のことを応援してくれるかはわかりません。一度、応援してくれたお客さんが永遠にファンでいてくれるなら、君の支持者は増える一方なはずですが、現実はそんなに甘くはありません。常に期待に応えられるように不断の努力を怠ってはなりません。そうやって成長していく君の姿を見せ続けていってください。
例えば君のポジション。君は単独で活動しているかもしれませんし、団体に所属しているかもしれません。フリーランスかもしれませんし、どこかと契約しているかもしれません。突然、解雇を言い渡されるかもしれません。突然、団体の活動終了を告げられるかもしれません。それは君自身のそして君だけの責任ではないでしょう。君の活動を支えていたものが、色々な事情があって存続不可能となれば、否が応もなく君は、芸能の世界との縁を切られるかもしれません。
今、君の周囲にある様々なものが、当たり前のようにあると思ってはいけません。
それらは君のコントロールできないところで、微妙なバランスの中で奇跡的に成り立っていると考えたほうがいいのです。その奇跡の中で君は “何者か” を目指しているのです。
今の一瞬一瞬を無駄にしないでください。漫然と時を過ごさないでください。緊張感をもって、目的意識をもって、計画性をもって、向上心をもって日々を過ごしていかないと、君はきっと後悔します。
「ああ、あの時、もっとやっておけばよかったなぁ」と。
そんな後悔をしないために強く「意識」してください。
今、君の周囲にある様々なものが、当たり前のようにあると思ってはいけないのです。
以上
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 百二十六通目」は2024年6月12日の記事
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 百二十八通目」は2024年6月26日の記事
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