猫村 百のナミダのワケ
「絶対にステージ上では泣かない」
猫村 百はそう決めていたそうです。
しかし、公演も大詰めの最後の演奏曲「チギリノヒ」。
客席で振られる緑色のペンライトを見ているうちに、猫村 百の中に不意に熱いものがこみ上げてきて、とたんに涙が溢れていたのです。
それは、本当に一瞬の出来事でした。
2023年12月9日(土)、スペーズ単独主催の定期公演「スペーズ ワンマンショー 111 猫村 百 生誕祭編」@ MUJICA (名古屋・栄) 。
2023年の最後のスペーズ主催の単独公演はスペーズ7期生・猫村 百の生誕祭公演です。
猫村 百が考えたセットリストは13の演目で構成されています。歌・ダンス、コント、漫才、ピン芸、ゲームショーとバラエティに富んだ内容です。
猫村 百は、2022年11月にステージ正式デビューだったため、2022年は生誕祭を行えませんでした。1年間で習得したり、学んだりしたことを13の演目に詰め込みました。本当はやりたかったけど、今回は諦めた演目もたくさんありました。選りすぐりのセットリストです。
公演の2カ月前から準備を始めました。稽古も重ねてきました。リハーサルも入念にしてきましたが、どれだけやっても充分とは言えません。やればやるほど「もっと出来る」「もっと良くしたい」となるからです。
それは「欲」です。「もっとお客さんに楽しんでもらいたい」「もっと良いものを見てもらいたい」という、表現者・猫村 百の「欲」です。
メンバーもその百の欲に引っ張られるように稽古を重ねていきました。
結果として、2023年の7期生・8期生の公演の中では出色の出来となりました。
その手ごたえはいよいよ最後の1曲という頃には猫村 百とメンバーの頭にはあったと思います。
「最後の1曲です」のアナウンスを合図に客席には緑色のペンライトが灯されました。
緑色は2023年に猫村 百が取得の条件をクリアして獲得した「メンバーカラー」です。
オーラスの1曲は「チギリノヒ」。未開拓の世界を不屈の精神で切り開いていく勇者を讃える歌。まさに猫村 百たちスペーズの歌です。
「もう最後の1曲か、早いな」、「今日はもっとこのステージを続けていたいな」。
1コーラス目に猫村 百が考えていたのは、そういうことだったと思います。
緑のペンラを振って応援してくれるお客さんたちの顔。オリジナル曲のうち10曲を習得することで得られたメンカラの緑。一緒に歌って踊っているメンバーの息遣い。不安だった先輩たちの引退。真夏のチラシ配り。汗だくの屋外演奏。漫才賞レース。ファッションショー。トークライブ配信。稽古からの帰り道。笑ったこと。泣いたこと。てるてる坊主を作ったこと・・・
そして、何より、お客さんとメンバーと猫村 百に関わってくれたすべての人への感謝の気持ちと。。。
一瞬のうちに1年間の色々な記憶と熱い思いが猫村 百 の胸に去来したのだと思います。
今のスペーズは「リーダー」を設定していません。誰かがリーダーです、と決めてしまうと知らず知らずのうちに「リーダーに仕事が集まってしまう」からです。
「それってリーダーがやればいいことだよね」という空気が自然に醸造されることがあるからです。
なので今のスペーズにはリーダーというポジションはありません。ところが、猫村 百は自ら進んで「みんなが避けがちな役割」を買って出てくれているのです。
細かい仕事を引き受け、みんなのハブとなって調整し、面倒なことにも挑戦していきます。メンバーもそういう猫村 百を信頼し、何かと頼りにしています。
時に皆が「は?」と思う抜けたところを披露することがありますが、そういう人間っぽいところに周囲は癒されています。
そんな猫村 百です。この1年間には人には相談できない辛い思いもしたはずです。
だから。
目の前に広がる緑色の光を見ているうちに万感の思いがこみ上げてきたのでしょう。
流れた涙は、1年間頑張ってきた猫村 百へのご褒美であり勲章なのだと思います。
猫村 百、おめでとう。そしてありがとうございます。
これからもよろしくお願いいたします。
以上
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