ある演劇を観て
少し前に観た演劇のことです。二人芝居です。喜劇です。全国ネットのドラマにも出演する俳優が出演する二人芝居です。東海エリアで観られる芝居としてはかなり密度の濃いものです。
スペーズが目指しているモノに「近い」ステージでした。いつかはスペーズだけで短編劇のオムニバスをやりたいと夢想しているのです。
ところでその舞台を観て、「コントと芝居の違い」について少し考えました。
本当のところは両者に違いはないと思います。そもそも「コント」とは「短い芝居」のことですから。
ただ、世間一般的には「コント」=「お笑い芸のひとつのジャンル」と解釈されています。「笑わせるだけが目的」であればコント内の登場人物の「生きてきた経歴を模索」したり、演劇では必要とされる「目的」や「何が障害なのか」を掘り下げる必要はないかもしれません。そういったものがなくてもとにかく「笑い」を取れればいいのですから。
そういう視点なら「コント」と「芝居」に違いはあるかもしれません。
しかし、「台本に書いてあることをやるだけ」でいいかどうかは別の話です。
特に「お笑い芸人」ではなく「役者」がコントをやる場合は「お客さんにどういう気持ちになってもらいたいのか」が重要になります。「あー、笑えた」だけで劇場をあとにしてもらいたいのか「何か特別の感情」を持って家に帰ってもらいたいのか。
ここでは、演者に「役者」としてのプライドがあるかどうかが問われます。「与えられた台本は何を伝えたいのか」「観客にどうなってもらいたいのか」
「書いてあること」をやるだけでいいはずがありません。したがって、「台本読解」から始める必要があります。「この人物は何者なのか」。「なぜ、〇〇をしているのか」。「何が物語の障害なのか」。「最後に何を伝えたいのか」。
そういうことを演者同士が話し合うことから始めるべきなのです。
「コントは台本に書いてあることをやるだけ」が「正解」ではないはずです。「お客さん」は、これを理解してくれるのか、「お客さん」にちゃんと伝わるのか、「お客」の心は果たして動くのか。
そういうことを考えなければならないのです。舞台の上で「役者」が何かを「表現」して「観る人」の「心を動かす」ためには「台本に書いてあることやるだけ」では不可能なのです。
「作家」と「役者」、さらには「演出」が科学反応を起こすのが「芝居」や「コント」であるべき姿ではないでしょうか。
そうでなければ「役者」は誰でもいい、ということになってしまいますから。
今、スペーズは短い芝居の稽古をしています。コントではありませんが、みんな、お客さんの心を動かしたい、と真剣に取り組んでいます。
そのために自分が演じる役はどんな人間なのかを、みんなで意見交換しながら、探っている最中です。
役の捉え方を変えるだけで、突然、セリフの意味がわかったり、自分がどんな演技をしなければならないかが見えてきたりしています。
少しでも上のレベルでお客さんに芝居を見てもらいたい。
メンバーの意識が変化し始めています。
以上
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