“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 五十八通目『人徳』
◆“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 五十八通目『人徳』
以前、全国区で活躍するあるタレントさんと一度だけご一緒させていただく機会がありました。
テレビのバラエティ番組などに出ていらっしゃる方なので、人目につくところでは、写真撮影を求められます。その人はどんな時でもイヤな顔ひとつせずにファンの要望に応えていました。
まあ、こういう話はよくある話だと思います。
「おや、この人は」と思ったのはそれ以外の場面です。テレビ番組の収録でした。撮影場所に足を踏み入れる前にその人は深々とお辞儀をしたのです。撮影後にその場所を離れる時も同じことをしていました。
「感謝」。
その人の行為から頭に浮かんだ言葉です。きっと、その人はそういう気持ちで頭を下げているのだと思います。
もちろん、「場所」にだけではなく撮影に「協力してくれた人たち」にも深々と礼をしていました。
単に腰が低いというだけではなく、本当に「お陰様で」という気持ちが伝わるお辞儀なのです。
もうひとつ。
この人とお手洗いで遭遇した時のことです。
その人は、手洗いが終わったあと、洗面台に飛び跳ねたしずくをペーパータオルでふき取ってから、その場を離れていきました。
「そうすることが当たり前」のような所作で、次の人が気持ちよく洗面台を使えるようにして立ち去る姿に「この人とまた仕事をしたいと思う人は多いだろうな」と感じたのです。
人として当たり前のことを当たり前のように行う。
「感謝」の心と「人に迷惑をかけない」という常識。
芸能の世界で売れたとしても、「人としての当たり前」を忘れない芸能人の姿にとても感銘を受けたことを忘れられません。
演技力や歌唱力、ダンスパフォーマンスをいきなりレベルアップするのは簡単ではありません。でも、感謝の気持ちを表したり、ほんのちょっとでいいから誰かのために何かをすることは難しいことではありません。
きっと君にもできることばかりだと思います。恥ずかしがることはありません。
「当たり前のことを当たり前にやる」。
それが出来る人はとてもカッコイイと思いますよ。
以上
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 五十七通目」は2023年2月15日の記事
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 五十九通目」は2023年2月29日の記事
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