“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 十三通目『演技に正解はないが不正解はある』
◆“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 十三通目『演技に正解はないが不正解はある』
芝居の演技については色々な人が色々なことを言うと思います。君の演技力があるとかないとかの話ではなく、「俳優として表現しようとすること」について、演出家や脚本家、プロデューサーやお客さんまでも色々なことを言うでしょう。そして、ヘコんじゃうことがあるかもしれません。
そんな時には、『演技には「正解」がないんだからしょーがないじゃない』と開き直りましょう。
そうなのです。「演技には正解がない」のです。厳密にいえば「正解は “ひとつではない”」ということです。
俳優が舞台で演じる「役」というものは「 (だいたいの場合) 生きた人間」です。現実の世界でも「生きた人間」は様々です。その生い立ち、経験、生活、思想。実に様々です。色んな人がいます。そういう「人間」を舞台上で表現するわけですから様々であって当然です。
ただ、芝居には台本があり、設定があり、演出があります。なので、「様々」だけれど「なんでもいい」というわけではありません。芝居の中の「人間」には。ある程度の設定があるわけですから。
そして、芝居は「演じる側」が、「見る人」に、何かを伝えるコミュニケーション手段でもあるわけですから、「伝わらない」と意味がありません。
そういう意味では「不正解はある」といえます。「伝わらない」演技は「不正解」です。
芝居の中の「生きた人間」は、君の生い立ち、経験、生活、思想と作家や演出家のそれとが融合して「生まれ」ます。結果、演技の「正解は “ひとつではない”」ということになります。
演技の「正解は “ひとつではない”」が、「不正解」はあります。君が「不正解」な演技さえしていなければ、誰に何と言われようとヘコむ必要はないのです。
以上
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 十二通目」は2022年4月14日の記事
「“アイドル”や“何者か”を目指す君への手紙 十四通目」は2022年4月27日の記事
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