必ず来る男装ブーム
日本の「芸能」の世界では「男装」の歴史は平安時代にまでさかのぼります。神事における巫女の舞を起源として、男装し舞い踊る芸能が平安時代末期から鎌倉時代にかけて生まれました。男性が着る衣や烏帽子、太刀を身に着けていました。
その歌舞と踊り手は「白拍子(しらびょうし)」 と呼ばれました。有名なところでは源義経の愛妾である静御前が白拍子です。
余談ですが、2005年のNHK大河ドラマ「義経」では、石原さとみが透明感のある静御前を印象的に演じていました。
江戸時代の前期には出雲大社の巫女であった女性が、現在の歌舞伎の原型を作り出します。「出雲阿国 (いずものおくに)」 です。
傾き者 (かぶきもの) に男装した阿国が茶屋の女 (女装した男の役者) と戯れる場面を表現したかぶき踊りは、庶民に熱狂的に受け入れられたようです。
江戸時代の後期には男性の衣装を身に着けた女性が三味線などを披露する「女義太夫 (おんなぎだゆう)」が登場し、明治維新以降に隆盛をみるようになります。
そして、今から100年以上前の1914年に世界でも類をみない、女性だけで構成された歌劇団「宝塚歌劇団」が誕生します。宝塚では俳優を「男役」と「娘役」と呼んでいますので、「男装」というくくり方は正しくはありません。
しかし、芸能の世界において、女性が異性装をしている点では、広義の意味で「男装」ととらえることはできるでしょう。
現在ではコスプレ文化の成長とともに「キャラクターの男装」をする人たちが増えています。男装をテーマにしたコンセプトカフェも数多く営業しています。男装して自分を表現することに抵抗がない人たちがSNS上では写真をたくさん公開しています。風男塾のように男装アイドルグループも活動しています。
そして、世の中は「多様性の時代」に向かっています。男装に興味があったり、好んで男装をする人たちが、すべてセクシュアルマイノリテイーというわけではありません。色々な人たちが「自分を表現する手段」のひとつとして「男装」を選択すれば良いと思います。
「性」が、どうだとかは関係なく、「男装が好き」ということが、今以上に、もっとオープンで自由な時代が必ず来ます。
それは、古来から日本に、ずーっと「男装文化」が存在したことからも明らかなのです。
新しい「男装ブーム」は必ず来ます。ただ、静御前や出雲阿国のような強烈で象徴的なアイコンが、まだ、世に出てきていないだけなのです。
2022年6月27日(月)と30日(木)の男装トークライブ「スペト~ク」では「男装コンテンツの可能性」を改めて確認することができました。こんなに明るくて楽しい文化が日本で再びブレイクする日は必ず来ると思います。
願わくば、男装パフォーマンスユニット「SPADES」(スペーズ)から、象徴的なアイコンを輩出したいと思っています。
以上
(文中の著名人は敬称略)
0コメント